理想のケイデンスとは?
クロスバイクやロードバイクなどスポーツバイクに乗るサイクリストなら、一度は耳にするキーワードだし、誰もが気にする話題だと思います。
職人気質の多い自転車業界。
ケイデンスについても、誰もが独自の理論や見解を持っていて「ケイデンス」というキーワードを調べるだけでいろいろな意見が出てきます。
- ケイデンスは高い方がいい
- ケイデンスは低い方がいい
- 筋力をつけて低回転を目指すべき
- 心肺機能を強化して高回転を目指すべき
その人その人の意見があって、大変興味深く面白いです。
今回は、ロードバイクやクロスバイクといった「スポーツバイク」におけるホットワードであり禁断ワードでもある「ケイデンス」について少し自分の意見を書いてみようと思います。
ケイデンスとは?
ケイデンスとは、1分間で回すクランクの回転数のことです。
単位は「rpm」で表され、60rpmなら1分間に60回ペダルを漕いだということになります。
※「rpm」は回毎分(英語:revolution per minute)または回転毎分(英語:rotation per minute)の略
回転数が多いことを「高ケイデンス」、回転数が少ないことを「低ケイデンス」と高い低いで表したりします。
高ケイデンス
軽いギア比で歯車を多く回して走る走法です。
軽いギア比でペダルを漕ぐので、脚の筋肉にかかる負担は減りますが、回転数が増える分運動量が多くなり、心肺能力や持久力を必要とします。
×:心肺機能や全身の持久力を使う
低ケイデンス
重いギア比で歯車を少なく回して走る走法です。
重いギア比でペダルを漕ぐので、1回転あたりに進む距離、スピードが大きくなり回転数が減りますが、脚や全身の筋肉にかかる負担は大きくなります。
×:脚や全身の筋肉の負担が大きい。パワーが必要
理想のケイデンスにおける論争
ケイデンスについては様々な議論がなされています。
効率的なケイデンス
一般的に、平地巡航時の筋肉への負担と心肺機能の負担として、
一番効率の良いケイデンスは「90rpm」
と言われています。
この「90rpm」という値を基準に「もっと高ケイデンスの方がよい」「いやいや低ケイデンスだ」という論争があるのです。
高ケイデンスの代表的人物
高ケイデンスの代表格として、ツール・ド・フランスで前人未到の7連覇を達成した(その後取り消された)「ランス・アームストロング」が取り上げられます。
アームストロングは、平地で100~110rpm以上、登り坂でも90rpm以上回し、驚異的な心肺能力と持久力で数々の結果を残しています。
理想的なケイデンスは「高ケイデンス」
今回は1歩踏み込んで「どちらが良いというスタンス」から、私の考えを書きたいと思っています。
ですので、前提として以下の内容の考え方はあえて無視して進めます。
- 筋力と心肺能力(持久力)のどちらも鍛えるべき
- 上半身の筋肉、全身のバランス、ランニングフォームなど他の要素も影響するから一概には言えない
上記はどちらもその通りの意見だと思っていますが、今回は無視します。
結論から言うと、私の考える理想は「高ケイデンス」です。
平地巡航時に「90rpm~110rpm」で回せるのが理想のぺダリングと考えています。
理由は以下の2点です。
- 高ケイデンスは技術
- 低ケイデンスは才能
高ケイデンスは技術
高ケイデンスを維持することは技術・努力です。
ペダリングの回数が多くなる分、高いペダリング技術(力をペダルに伝える技術)が必要となります。
ぺダリング技術が低いと、無駄な力(パワーロス)が増えてしまい、せっかく全身のエネルギー・筋グリコーゲンを使ってペダルを回しても、ちっとも進まないという状況になってしまいます。
また、ぺダリング技術向上とともに、心肺機能・持久力の向上も必要です。
高ケイデンスを身につけるために課題は多いのですが、ペダリングや持久力の向上は、努力と経験で習得できます。
自転車に乗り続けることで、自分に合った効率の良い高ケイデンスを身につけることが可能なのです。
低ケイデンスは才能
低ケイデンスは一回で踏み込むパワー・瞬発力が必要です。
高いぺダリング技術も必要ですが、強靭な筋力が必要です。
強靭な筋力・瞬発力は努力でカバーできる部分もありますが、才能によるところも大きいです。
私は趣味でランニングをしています。
月の走行距離が200kmくらいで、年に2回はフルマラソンの大会に出場して3時間半を切るタイムで走ります。市民ランナーとしてはまあまあ速い方です。
ですが、そこで感じるのが「元々の圧倒的な足の速さの違い」
小さい頃、特に練習もトレーニングもしてないのにやたら脚の速い人がいませんでしたか?
足の速さは1キロを何分で走れるかで比較されます。
私の平均はキロ5分程度。どんなに頑張ってもキロ4分半を切ることができません。
ですが、地足の速い人は何も練習していなくてもアッサリとキロ4分程度で走ってしまいます。
もちろん何も練習しない人がいきなりフルマラソンを走ることはできません。それは努力でカバーできる持久力の勝負です。
短距離における筋力・瞬発力は圧倒的に才能の差がでます。
そして、自転車のケイデンスについてもこれが当てはまると私は考えています。
だから、努力でカバーできる高ケイデンスを当たり前にしたほうが、自転車の走行能力の伸び代も大きくなるんです。
ケイデンスのまとめ
今回は、自転車でたびたび議論になる「ケイデンス」についてまとめました。
低ケイデンスで必要となる筋力・瞬発力は才能の差がモロに出ます
ぺダリング技術の向上に努め、高ケイデンスで一定に回せるようになった方が、自転車の速さ・持久力向上には効率であると考えています。
どの分野もそうですが、自転車の世界も奥が深い。
ひとつひとつ自分なりの意見を持って考えたり試したりすることも、自転車の魅力です。
そして、自分の体に合った理想のケイデンスを追い求めるのも、自転車の魅力のひとつだと思っています。