「三宅島」と聞いたら、何を思い浮かべますか?
わたしは、やはりまず第一に「火山」「噴火」というワードが頭に浮かびます。
昭和以降は約20年の周期で噴火している活火山の島です。
ひとたび大噴火が起きてしまうと大変な大災害となってしまう一方で、火山だからこそのダイナミックさを持ち合わせているのがこの三宅島なのです。
前回の噴火以降、今現在はもうだいぶ落ち着きを取り戻し他の島と同じように観光も可能です。
ここでは、生きた火山とともに人々が生活を営み、自然と共生してきた伊豆諸島の島「三宅島」についてご紹介してみたいと思います。
三宅島ってどんな島?
三宅島は、東京都の伊豆諸島に含まれている島のひとつです。
通称「伊豆七島」の5番目の位置にあたります。
三宅島のすぐ南側にはイルカの棲む島と言われる「御蔵島」があり、三宅島からもドルフィンスイムの船がいくつも出港しアクティビティの目玉になっています。
また、海がきれいで魚がたくさんいるのでダイビングなども盛んにおこなわれ、年間通して観光客が多く訪れる島です。
島の全土が東京都三宅島村に属し、また全域が富士箱根伊豆国立公園に指定されています。
それでは、三宅島について詳しく見ていきましょう。
三宅島の概要
三宅島が位置している場所は、東京から南へ約180kmほど下ったところです。
島の面積は55平方キロメートル、これは山手線の内側とほぼ同じ大きさです。
伊豆諸島の中では大島、八丈島に次いで3番目の大きさの島です。
人口は1950年代には7,000人を超えていましたが、それをピークに減少傾向にあり、令和元年9月時点では2,500人弱となっています。
噴火活動が盛んな島で、ここ500年の間に13回もの噴火が発生しています。
特に昭和に入ってからは約20年周期で大噴火が起きていて、1983年、2000年の噴火については記憶に新しく、よく語られる二大噴火とされています。
2000年の噴火の際は、6月下旬の群発地震から始まり、海底噴火、水蒸気爆発と度重なる噴火が長い期間続き、小規模なものを含めると2013年1月まで続きました。
2000年7月〜8月にかけては噴火活動が活発化し、ついに山頂から噴火が発生。
それにより火山ガスが全島に充満するようになり、2000年9月には余儀なく全島避難となったことはニュースでも連日放送されていましたね。
その後、2004年7月の観測以降は火山ガスの放出が落ち着き、2005年2月には全島避難は解除されました。
今もなおガスの放出はあるものの数10トン以下であり、観光客もだんだんと戻ってきています。
噴火については、次の項でもう少し詳しく書きたいと思います。
さて、三宅島の気候といえば年間通して日の平均気温は17.7度と温暖な気候であることが特徴のひとつです。
これは、島の周りを流れる黒潮によるものです。
「常夏」ではなくあくまでも「温暖」なので、真夏でも30度を超える日は本州より少なく年間平均で13日程度、冬場は0度を下回る日というのは平均すると1日に満たないくらいです。
夏は涼しく、冬は暖かい、とても過ごしやすい気候なのです。
また、降雨量は多めです。
年間降雨量は3,000ミリメートル前後とされ、これは本土の東京の2倍ほどになります。
初夏には梅雨、夏から秋にかけては台風の通り道となることも多く、さらに冬は低気圧の影響を受けやすい、と雨が降る要素がたくさんあるのです。
一言で表すと、三宅島の気候は「温暖多雨」と言えるでしょう。
三宅島から南に18kmと近いところに御蔵島があるため、ドルフィンスイムも盛んにおこなわれています。
漁船に乗って片道40分ほどで御蔵島まで行くことができます。
また、黒潮のおかげで魚影も濃く、大小さまざまな魚が島周辺にいることからダイビングも人気があります。
海の遊びだけでなく、火山の島の大自然を味わえる陸上での遊びも豊富にあるので、観光産業が盛んです。
その一方、三宅島では漁業や農業といった産業も島を支えています。
三宅島の噴火
三宅島のはじまりは、約1〜15万年前くらいに起きた海底噴火とされています。
この島は水深300〜400メートルの海底からそびえ立つ火山体であり、その最高峰は2000年に大噴火した雄山(標高775メートル)です。
地質としては、玄武岩質の成層火山(※)です。
ほぼ毎回同じ火口から噴火し、溶岩や火山灰などが重なって成り立ち、円錐型の形状をしていて山の裾野が広がっているのが特徴です。
日本の火山のほとんどはこの「成層火山」と呼ばれるもので、代表的なものでは富士山や羊蹄山などがあります。
玄武岩質の溶岩というのは粘度が低く、溶岩流となって流下してしまいます。
1983年に起きた大噴火では、この玄武岩質の溶岩流により島の西部にある阿古地区という集落の7割が焼失し、集落にある学校の校舎の2階くらいの高さまで溶岩に埋まってしまったといいます。
引用:photoAC
今では、阿古地区には火山の脅威、大自然のエネルギー、そしてそこから再生する自然の力などを体感することができる「火山体験遊歩道」が設置されています。
2000年の噴火の際は、火山ガスも大きな問題となりました。
実は20年近く経った今でも、雄山からはガスが放出され続けています。
とはいえ、年々減少傾向にあり今現在は健康被害をもたらす量には至らず、発生しても数十トン以下のためガスマスクもすでに携行不要となっています。
わたしが三宅島を訪れたのは2005年の7月でしたので、日に3,000〜6,000トンほど放出されていた時期です。
この頃は観光客もガスマスクを持参、常時携行することが義務付けられていて、わたしも竹芝桟橋で船に乗船する前に売店で購入したのを覚えています。
ガスマスクといっても、一般人向けのものなのでテレビで見たり下の写真のようなごついタイプのものではなく、鼻と口を覆えるくらいの丸いカップのようなマスクに調節可能なベルトがついている程度の簡易的なものでした。
引用:photoAC
幸い、滞在中にガスマスク着用の警報などはなく一度も使用することなく無事に済みましたが、実際にガスマスクを手にした時には”これからすごいところに足を踏み入れるんだな”と少し不安に思ったことを思い出します。
活火山なのでまたいつ噴火が起きるかはわかりませんが、2019年時点では噴火警戒レベルは1と低く穏やかな状態が続いています。
生きている火山であることは決して忘れてはなりませんが、今のところは安全に観光できるでしょう。
島へのアクセス方法は?
三宅島に行く場合、どういった交通手段があるのでしょうか。
ここでは島へのアクセスについてをご紹介いたします。
船で行く
三宅島に行くもっともポピュラーなアクセス方法は、船を利用した行き方です。
伊豆諸島界隈の交通手段としておなじみの東海汽船より、「橘丸」という大型船が毎日就航しています。
東京竹芝桟橋から、毎日夜に出港し、大島、三宅島、御蔵島と経由して八丈島で折り返し、竹芝まで順々に戻っていく船です。
竹芝を22:30に出発し、三宅島には翌朝5:00に到着します。
また、帰りは13:35に三宅島を出港し、19:45に竹芝に着くダイヤになっています。(2019年10月時点)
往路は夜行船なので、金曜日の夜に仕事が終わってから船に乗り、土、日と島で過ごし日曜日の夜に内地に戻ってくる弾丸ツアーも可能です。
週末だけで気軽に島旅を味わえるのは嬉しいですね。
<橘丸時刻表> ※2019年10月現在
東京 (竹芝) |
三宅島 | 御蔵島 | 八丈島 | 御蔵島 | 三宅島 | 東京 (竹芝) |
|||||
発 | 着 | 発 | 着 | 発 | 着 | 発 | 着 | 発 | 着 | 発 | 着 |
22:30 | 翌5:00 | 5:05 | 5:55 | 6:00 | 8:50 | 9:40 | 12:30 | 12:35 | 13:25 | 13:35 | 19:40 |
なお、最新の時刻表については東海汽船のホームページにて公開されています。
夏季限定ですが、復路のみ大島に寄港する便もあります。
その場合、竹芝桟橋への到着時間が変更となります。
ご利用の前にオフィシャルサイトで最新のものをご確認ください。
- [竹芝]- 夜行船<6時間30分> -[三宅島]
飛行機で行く
空からのアクセスは、東京の調布飛行場から新中央航空の飛行機が1日に2〜3便で就航しています。(時期により便数は変動します)
調布飛行場は、調布駅よりバスで15分ほどの場所にあります。
機体はドイツ製のドルニエ228シリーズというプロペラ機で、定員が19名というとても小さな飛行機です。
船より予算はかさんでしまいますが、空の旅も魅力がたくさんあるので、おすすめのアクセス方法のひとつです。
その魅力はまず、なんといっても移動時間が短いこと!
船の場合は片道6時間半かかるところ、飛行機ならばたったの50分で行き来できるのです。
休日を利用して島に行きたい人にとってはとても助かります。
また、乗り物が好きな人であれば、他では乗ることができない日本で唯一の飛行機に乗れるのも嬉しいですよね。
普通の旅客機に比べ飛行する高度が低いので、お天気が良ければ東京から横浜、三浦半島、東京湾と綺麗な景色を望むことができます。
座席によっては伊豆半島や富士山も見られますよ。
なお、小型機は左右の重さのバランスがとても大切になってきます。
そのため、残念ながら座席の指定はできません。
その便に搭乗する乗客の様子を見て座席が決められるシステムになっているので、搭乗するときまで座席はわからないのです。
デメリットとして挙げるとしたら、上記の座席についてと金額、飛行機が小さいため人や荷物の重さや大きさに制限がある点くらいでしょう。
<新中央航空時刻表> ※2019年10月現在
こちらも、最新の時刻表については公式ホームページをご確認ください。
- [調布飛行場]- 飛行機<50分> -[三宅島]
ヘリコプターで行く
もうひとつ、空からのアクセスとしてヘリコプターという手段があります。
伊豆諸島の島々を往来する東方航空の「東京愛らんどシャトル」です。
三宅島へは1日1便運航されています。
大島〜三宅島間、御蔵島〜三宅島間と前後の島からヘリコプターで行くことができます。
<東邦航空時刻表> ※2019年10月現在
しかしながら、御蔵島は大型船の就航率も悪いため本土往復の際の御蔵島〜三宅島のルートは利用しにくいかもしれません。
御蔵島へは片道10分ほどなので、三宅島に宿泊したのちに御蔵島に移動する、またはその逆で御蔵島滞在後に三宅島に移動するといった場合や、別の近隣の島に移動するという場合にはとても便利です。
日に一便しか運航がないので、一日観光で隣の島にヘリコプターで往復するというのは難しいかもしれません。
ダイヤがもし合うならば可能となりますが、かなりリスキーですので余裕を持った計画をおすすめします。
- [伊豆大島]- ヘリコプター<20分> -[三宅島]
- [御蔵島]- ヘリコプター<10分> -[三宅島]
三宅島で人気のアクティビティは?
島なので、海のアクティビティが豊富なのは言うまでもありません。
ダイビングにシュノーケリング、釣り、夏には海水浴も・・・
一方で、大自然に囲まれた島でもあり、陸上のアクティビティも幅広く楽しむことができます。
三宅島最高峰の雄山は、標高775メートルとそれほど高くはありませんが、火山の脅威がそのままの形で保存された遊歩道をトレッキングで歩いて回ることができます。
引用:photoAC
人の手が入っていないそのままの自然が残されているため、野鳥をはじめとした動物もたくさん生息しています。
充実した島旅にしてくれる人気のアクティビティをいくつかご紹介いたします。
ダイビング
黒潮が流れ込むこの島の海では、魚の種類も多種多様です。
約600種もの海水魚類が確認されており、ダイビングスポットも非常に多い場所です。
ウミガメや大型回遊魚などの大きな海洋生物から、ウミウシなどのマクロ生物まで大小多くの生き物が生息しています。
また、サンゴ礁の北限ともされていて、テーブル珊瑚をはじめとするサンゴも見ることができますよ。
噴火により海まで流れ込んだ溶岩などが複雑な地形を作り出し、地形派ダイバーも楽しめるスポットがたくさんあります。
アーチにドロップオフ、砂地に岩地、と飽きることなく何度も潜れる海は他にはなかなかありません。
島をぐるりと囲むようにポイントがあり、ビーチダイブができる所、ボートダイブができる所とそれぞれあるので、初心者から上級者まで遊べます。
ドルフィンスイム
三宅島のお隣、御蔵島までは漁船で片道40分。
ドルフィンスイムのツアーも盛んにおこなわれています。
三宅島では三本の指に入る人気のアクティビティです。
ダイビングとセットになっているツアーもあり、半日をドルフィンスイム、残りの半日をダイビングといったプランで出しているショップもあります。
欲張りなわたしが参加したツアーも、まさしくダイビングとセットのツアーでした。
往復大型客船「かめりあ丸」(橘丸の先代となる船)での2泊4日の旅では、島に着いた日に御蔵島でシュノーケリング講習とドルフィンスイムを行い、翌日は午前にビーチダイブ1本、午後にボートダイブ1本という内容です。
せっかくイルカが近くにいる島に行くのだから、両方味わいたいですよね!
御蔵島のドルフィンスイムについては、こちらの記事でご紹介していますのでぜひご覧ください。
参考 御蔵島のドルフィンスイムを丸ごとご紹介!予約方法や目的別おすすめシーズンも!
バードウォッチング
鳥の種類が多く、バードウォッチングを目的に島に来る人も多くいます。
噴火により森が焼かれ激減してしまいましたが、かつては200種類以上の野鳥が存在していました。
そのため、三宅島は別名「バードアイランド」とも呼ばれています。
その中には、国の天然記念物や絶滅危惧種に指定された鳥も複数確認されています。
三宅島の鳥といったら、やはり「アカコッコ」!
島のシンボルにもなっています。
アカコッコとは、ツグミの仲間で伊豆諸島やトカラ列島だけに生息する日本の固有種の鳥です。
1975年に国の天然記念物に指定されています。
絶滅危惧種にも指定されている鳥です。
三宅島では2000年の噴火で数が減ってしまいましたが、2016年の調査では7,800羽ほど確認でき、徐々に回復しつつあります。
同じく絶滅危惧種や天然記念物に指定されてる「イイジマムシクイ」、「カンムリウミスズメ」のほか、「カラスバト」、「ウチヤマセンニュウ」といったいろいろな鳥たちに出会うことができます。
島内には「三宅島自然ふれあいセンター アカコッコ館」があります。
三宅島の自然についての情報提供、自然観察会などのイベント開催、調査・研究などを行なっている村営の施設です。
アカコッコ館には、鳥のスペシャリスト、日本野鳥の会のレンジャーが常駐していて、アカコッコの詳しい展示などもされています。
それ以外にも、三宅島の海から山まで植物、動物とあふれる島の自然についてを知ることができます。
自由に見学でき、より三宅島の魅力を発見できる場所ですので島に着いたらぜひ一度足を運んでみてくださいね。
サイクリング
島内には、レンタサイクルを行ってるショップがいくつかあります。
引用:photoAC
多くの島では山道も多く自転車移動というのは相当体力に自信がある人でないとおすすめできないのですが、三宅島では電動アシスト自転車のレンタルをしているので坂道も楽々です。
島の観光協会でもレンタルしていて、半日で¥1,500、1日で¥2,500とリーズナブルに借りることができます。
日をまたいだ貸し出しも行っているので、滞在中借りっ放しで島を巡ってみるのも楽しいかもしれません。
ただし、子供用の自転車はなく、身長が150cm以上でないと借りることができませんのでお子様がいる場合には注意が必要です。
釣り
三宅島は黒潮の影響を多分に受け、島周辺にはたくさんの種類の魚がいます。
そのため、釣りをメインに来島する観光客もとても多いのです。
岩場となっているところのほとんどが磯釣りポイントとなっているので、島のいたるところで釣りができることも魅力です。
さらに、船宿もあり地元の漁場のスペシャリストである船長がとっておきのポイントに案内してくれるので、コンディションさえ整えば思った以上の釣果も夢ではありません。
磯釣りであればシマアジ、ヒラマサ、イシダイ、イシガキダイなどが、船釣りならヒメダイ、ムツ、カンパチ、マダイなどが釣れるとされています。
ボルダリング
意外に思えますが、実は三宅島には初級レベルから上級レベルまで、どのスキルにも対応したボルダリング施設もあるのです。
なんとここ、島にありながら公共のボルダリング施設としては日本最大級とされています。
道具はすべてレンタル可能(一部有料)、かつ利用料も一日500円と大変リーズナブルです。
運悪く雨の日に当たってしまった!というときには、こういう遊びはいかがでしょうか。
天候に左右されない施設があるのは嬉しいですね。
特産品や郷土料理は何があるの?
三宅島の特産品は海のものも山のものも、どちらもあります。
海産物ならイセエビにキンメダイ、テングサなど、農産物なら明日葉が有名です。
いずれも噴火の影響を受け、特産品も一時は激減していましたが、現在は日に日に回復しつつあるようです。
高栄養価の野菜「明日葉」
明日葉はたまに本土のスーパーでも見かけることがありますが、食べたことはありますか?
引用:photoAC
他の一般的な青菜よりも栄養価が高く、苦味があるのが特徴です。
伊豆諸島各地や茨城県などわりと広範囲で栽培されている野菜で、伊豆諸島の島々では民宿の食事にもよく登場します。
非常にアクが強く、少々苦いのでマヨネーズ和えにすると苦手な人でも食べやすくなりますよ。
初めて食べた時は、宿泊していた民宿でツナマヨ和えとしていただきました。
おひたしやごま和えなども試しましたが、やはり苦味をもっとも緩和してくれるのはマヨネーズでした。
苦いのが苦手な方にはイチ押しの食べ方です。
三宅島の定番のお土産といったら「くさや」と「牛乳煎餅」!
海産物の加工品では「くさや」がお土産として人気です。
独特なにおいを放つ「くさや」ですが、一度食べたら病みつきになるとも言われています。
お酒のあてにもぴったりです。
一方、「牛乳煎餅」は小さな子どもから大人まで、あらゆる年代の方々に人気の銘菓です。
材料はいたってシンプル。
小麦粉、牛乳、たまご、バター、砂糖のみ、やさしい甘さのお煎餅です。
パリッとした硬めの食感はクセになります。
「岡太楼本舗」で作られた牛乳煎餅は島内の商店ならたいていどこでも置いている商品です。
しかしながら、ぜひ岡太楼本舗の本店に足を運んでみることをおすすめします。
そのわけは、焼き立てほやほやのやわらかい牛乳煎餅を食べることができるからです。
冷めるとすぐに硬くなる性質のため、あつあつでやわらかい状態のものを食べられるのはその場で焼いている本店だからこそ!
島に行ったらぜひ一度お試しください。
三宅島まとめ
はじめて三宅島に上陸し、宿まで移動する道のりでまず目にしたのは、雄山の斜面に広がる立ち枯れて白くなってしまった木々でした。
わたしにとってこれまでに訪れた島といえば、緑に囲まれ、空からも大地からも海からも溢れんばかりのパワーが発せられている、という場所でした。
しかし、溶岩流が流れ込んだ山肌に広がる白化し丸裸になった木々の森からは、虫や鳥の声もなく、木の葉が風に揺れる音もしません。
異様なほどに静まり返った”枯木の森”からは、これっぽっちも生命の気配が感じられませんでした。
今にも雨が降り出しそうな空の暗さも手伝って、「怖いな・・・」と感じるほど。
それから約20年、今では徐々に植物も再生しつつあり、森の息吹も感じられるようになりました。
植物も動物も、そして人も、三宅島で生きているすべてのモノ・ヒトは本当にたくましいですよね。
三宅島という島は大変な大災害を繰り返す火山島であり、この地で生きていくことはさぞ大変なことだろうと思います。
噴火により草木が焼かれ、余儀なく全島避難をすることになっても、それでも人々は島に戻り自然と共に何度でも立ち上がりこの島で暮らし続けています。
それは、大自然のもたらす良いこともそうでないことも丸ごと”自然の営み”として、「三宅島」として、すべてを受け入れ生きている証かもしれませんね。
「三宅島の魅力は何か」と聞かれたら、もちろん豊かな自然やきれいな海もありますが、なによりも一番は、美しさの中にある”たくましさ”なのではないかと思うのです。
引用:photoAC
”地球は生きているのだ”とあらためて実感できるダイナミックな島で、都会ではなかなか感じることができない自然の恵みも脅威も全身で味わってみてはいかがでしょう。