ゴルファーが抱えるケガで多いのが「手首の痛み」
重くて硬いゴルフクラブで、これまた硬いゴルフボールを打つのですから、手首にかかる負担は相当なものです。
プロゴルファーでも手首の痛みに悩まされる人もいて、近年では松山英樹さんや有村智恵さんが、手首痛のためツアーを欠場したりしています。
特に初心者ゴルファーやアベレージゴルファーの場合
- ボール手前を叩くダフリ
- ボールの上を叩くチョロ
といった芯を外すショットが多く、手首に余計な負担がかかってしまいます。
前回は、手首が痛む原因について説明しましたが、今回はその治療法と再発防止のための対策について説明しようと思います。
ゴルフで手首が痛くなる原因
ゴルフで手首が痛くなる原因は主に2つです。
- ボールの手前を叩くダフリ
- ボールの上を叩くトップ、チョロ
ボールの手前を叩くダフリ
ボールの手前の地面を叩くダフリ。
ボールではなく地面を叩くのだから、当然衝撃が全て手に返ってきます。
本番ラウンドであれば、ある程度芝が削れて衝撃が少なくなりますが、練習場は硬い床をモロに叩きます。その衝撃は相当なものです。
ボールの上を叩くトップ、チョロ
ボールを打って振り抜いているのだから手首の負担は少ないんじゃないの?と思うかもしれません。
確かに地面を叩くダフリよりは衝撃は少ないですが、芯を食わないトップやチョロもボールの硬い衝撃が手首に返ってきます。
硬さで言えば、練習場の床と変わらないので、特にチョロの場合は衝撃も同じくらい返ってきて手首の負担になります。
つまり、ダフリでもトップでもチョロでも、ボールの芯を食わないショットは手首に負担がかかります。だからミスショットの多いアマチュアゴルファーは手首を痛めやすいんです。
なぜゴルフで手首が痛くなりやすいのか?
人間の体というのは基本的に「曲がる」部分が弱いです。
そして治りにくいのも「曲がる」部分です。
手首が痛くなりやすい理由
スポーツのおけるオーバーユース(使いすぎ)で痛めるのはほとんどが手首、肘、膝、腰、肩などの曲がる部分です。
曲がる部分というのは、腱や筋肉で繋がれていて、腱や筋肉が外部からの衝撃を吸収したり、衝撃の力を利用してさらなる力を生み出すような役割をしています。そのため、外部からの衝撃に「曲がらないようにする」ためには、腱や筋肉にかなりの負荷が発生することになります。
例えばゴルフでボールを打つ時。
手首が腕の一部のように全く曲がらない部分だとしたらどうでしょう?
体の構造上曲がらないのですから、外部からの衝撃に「曲がらないようにする」ために腱や筋肉の力は使いません。もちろんその分衝撃を吸収してさらなる力を生み出すこともできませんが。
ボールを打つ時に手首が「曲がらないように」努力するため、手首の腱や筋肉に相当の負荷がかかり、その負荷が限界を超えると「炎症」となり痛みが発生するのです。
手首の痛みが治りにくい理由
そしてなぜ治りにくいか?
それは、体の曲がる部分というのは普段の生活でも曲げ伸ばしをするため、スポーツを休止しても相応の負担がかかっているためです。
骨折のときのようにギプスで固めて全く動かない状態にしてしまえば治りも早いです。
ですが、例えば手首の腱鞘炎になったところで、よほど重度でない限りギプスでガチガチに固定して全く使えなくすることなんてないですよね?
例えスポーツを休止しても、重いものをもたなくても、普段の何気ない生活で曲がる部分の腱や筋肉は使われているのです。
ゴルフで手首を痛めたときの対策
ここからは「ゴルフで手首を痛めたときの対策」をご紹介します。
- ゴルフを休止すること
- アイシング
- マッサージ
アイシングとマッサージ
月並みですが、ケガをしたときは休養とケアが重要です。
腱や筋肉系のスポーツ障害全般に言えることですが、まずは休養して使うのをやめること。そして腱や筋肉系の障害は「炎症」によるところが大きいので「アイシング」と「マッサージ」が有効です。
ゴルフを休止中でも、一日の終わりに手首のアイシングはやっておいた方がいいでしょう。
病院(整形外科)で診てもらう
痛みが強いときやなかなか治らないときは整形外科を受診してください。
十中八九「腱鞘炎」と診断され、湿布薬や痛み止めの薬が処方されるでしょう。
湿布薬は、患部を冷やす目的よりも「湿布薬に貼付されている炎症止めの薬剤による効果」が目的です。心配な方は整形外科を受診してレントゲンやMRIで検査してもらってもいいでしょう。
ですが、病院に行ったからと言ってすぐに治るものではありません。
前述のとおり、手首など普段の生活でも動いたり曲がったりする部分のケガは治りが遅くなります。気長にアイシングやマッサージなどのケアに努めてください。
ゴルフで手首を痛めないための予防策
休養、治療をしてせっかくクラブが振れるようになっても、手首の痛みが再発してしまったら元も子もありません。
ゴルフで手首を痛めないための再発防止策(予防策)をご紹介します。
フックグリップ(ストロンググリップ)にする
私の経験上、フックグリップ(ストロンググリップ)にしたところ、手首を痛めることはなくなりました。
スクウェアに握ったとき、ボールをインパクトする瞬間にかかる衝撃は「手の甲側」からです。手首は横よりも縦(手の甲や手のひら側)に曲げやすく曲がりやすいです。曲げやすく曲がりやすいということは、曲げないためにより負荷がかかります。
そのため、ボールをインパクトするとき手首にかかる負荷は、フックグリップよりもスクウェアグリップの方が大きいと言えます。フックグリップであれば手首が固定され、手首が頑張る力はスクウェアグリップよりも軽減されると言えます。
これはテニスに似た技術です。
テニスにもいろいろなタイプの選手がいますが、強いボールを強く打ち返そうとするときは、手首を甲側に曲げて手首を固定させた状態で打ち返します。公式テニスなどの硬球を打ち返すときに手首を固定しないと、向かってくるボールの勢いに負けてしまうからです。
フックグリップ(ストロンググリップ)のやり方は、以下のページで細かくまとめてありますので、ご参考にしてみてください。
なるべく払い打ちにする
近年のゴルフはクラブの進化により、点で捕らえる打ち込むショットより、線で捕らえる払い打ちの方が良いとされています。
打ち込むショットは、クラブフェースがボールの斜め上から鋭角に入り、ボールの先のターフ(芝)を削り取るようなショットです。ボールだけを打つ払い打ちよりも当然手首の負担は大きくなります。
もちろん、深いラフなど打ち込むショットが必要になる時もあります。
また、アマチュアゴルファーの場合、ダフリやチョロ、もしくは芯を喰ってないショットで負担がかかり、手首を痛める方が要因としては大きいです。
ですが、普段から「払い打ち」を意識して練習することで、手首の負担は軽くなるし、ショットの精度もあがりゴルフのスコアアップにもつながります。
ゴルフにおける手首の痛みのまとめ
ここまで、ゴルフにおける手首の痛みの原因・対策・予防法などをご紹介しました。
ゴルフに限らず、スポーツをやる以上ケガは誰にでも起こることです。
特にミスが多くケアも得意ではないアマチュアゴルファーの場合、一度ケガをすると長引いたりもします。
手首が痛くなったら治療に専念する。
再び痛くならないように正しい手首の使い方をマスターする。
しっかりと対策をすることで痛みを引きずることなくプレーすることができるようになるし、ケガしなければ上達もその分早くなるはずですよ!