旅行を考えるときに気になるのはベストシーズン、どうせ行くならいい時期を狙いたい!と誰もが思うことですよね。
世界自然遺産にも登録され、ますます人気の旅行先となっている小笠原。
「一番いいシーズンは?」というのはよく聞かれる質問ですが、その答えは「小笠原に”一番のシーズン”はない」です。
どういうことかというと、何をしたいかによってベストシーズンが変わるということなのです。
目的別!小笠原のベストシーズンとは
小笠原の虜になり何度となく通ったわたしがおすすめする、「島に行ったらぜひやってほしいこと」とそれぞれのベストシーズンをご紹介いたします。
野生のイルカと泳ぐ
ドルフィンスイムにオススメなのは、ずばり6月です。
小笠原ではイルカと会えるシーズンはどの季節でも会える可能性はありますし、気温や水温だけでいうならば7〜9月もよいでしょう。
そこをあえて6月とする理由、それは梅雨も明け、水温・気温もだんだんと上がり、海が一年でもべた凪になることが多く、観光客も少なめ、そして台風の心配も少ない、とたくさんの理由があるからです。
海が穏やかなこの時期は船の揺れも少なく、母島やちょっと離れた無人島周辺まで遠征するツアーなどにも参加しやすいですよ。
運が良ければ、イルカを探しているときにマッコウクジラやウミガメなどとも出会えるかも?!
小笠原名物のパッションフルーツの収穫も始まり、採れたての味も楽しめます。
ザトウクジラに会いにいく
ザトウクジラは冬になると出産・子育てのためにアラスカなど北の海からやってきて、12〜5月中旬くらいまでの期間を小笠原で過ごします。
ザトウクジラに会いにに行くなら1〜4月頃がオススメです。
時期によっては母子で大海原を泳ぐクジラの2ショットや、オスのクジラが母子をエスコートしている3ショットが見られることも。
ホエールウォッチングツアーだけでなく、父島のウェザーステーション展望台や母島の御幸之浜、鮫ヶ崎展望台など陸上からも観察できます。
大きな体を海面に打ち付けるダイナミックなブリーチングは見応え満点!
ホエールウォッチングでは、船によっては水中マイクを使って「クジラの歌」を聞かせてくれることもあります。
目でも耳でも大きなクジラを体感できるのは子どもだけでなく大人も大興奮です。
ところが、冬の小笠原は海が荒れることも多い時期。
船に弱い場合は船酔い対策をしっかりとしたほうがよいでしょう。
冬のイベントといえば、大晦日の「カウントダウンパーティー」と元旦の「日本一早い海開き」。
夏のイベントに引けを取らず、島民と観光客が入り混じって大盛り上がりの島内行事です。
お正月の賑わいが落ち着くと、例年1月下旬〜2月初旬にかけて「おがさわら丸」は年に一度の健康診断「ドック入り」をします。
その間、内地との行き来ができなくなり、宿泊施設やツアーがお休みになったりするのでその点には注意が必要です。
しかし、その一方で人の出入りがないため、もし長期滞在ができるなら旅人同士や地元の人との交流を深めたり、プチ移住体験をしたりと貴重な経験ができるときでもあります。
アオウミガメの産卵を見る
父島、母島は日本では最大のアオウミガメの繁殖地になっています。
アオウミガメは春に交尾し、夏に浜辺で産卵します。
もし、アオウミガメの産卵を見に行くのであれば、5〜8月がベストシーズンになります。
小笠原では、タイミングが合えばアオウミガメの産卵も見られるナイトツアーを催しているガイドサービスも充実しているので、参加してみてはいかがでしょう。
また、父島にはアオウミガメの保護活動をしている施設「小笠原海洋センター」があり、ウミガメの放流をさせてもらえるイベントも随時開催されています。
いくつものお店や宿泊施設が立ち並ぶ島内一番の街にある浜辺、大村海岸。
センターでは、街の明かりで光害(※)のおそれがある浜辺に産卵された卵を施設のスタッフが保護し、人工ふ化させる取り組みをおこなっています。
ふ化した赤ちゃんカメ(稚ガメ)は、一部をのぞきその晩のうちに浜から放流し自然の海に帰します。
天敵に食べられてしまうのを防ぐ目的で、ふ化した稚ガメのうちの一部(年間150〜200頭)はセンターに残し、1年間飼育してから放流するものもあります。
7〜9月の夏の間、この2種類の放流をイベントとしてわたしたちが参加できることがあるので、興味があれば問い合わせてみてください。
本来、自然界では夜の浜辺は電気ひとつない真っ暗な場所になります。その中でも山側より海側の方が明るく、ふ化したウミガメの赤ちゃんはほんの少しの明るさをたよりに、海までまっしぐらに向かっていく習性をもっています。ところが、街に近い浜辺では街灯や家の明かりなどが煌々と点いているため、海ではなくその光に向かってしまうのです。これが「光害」です。
南国らしさをとことん味わう
ハイビスカスの花が映える青い空にキラキラの太陽、風に揺れる椰子の木・・・これぞまさに南国の景色ですよね。
飛び込みたくなるなようなきれいな海で海水浴をしたり、ダイビングなどマリンレジャーを思い切り楽しめるのはやはり夏。
7〜9月は水温が平均で26度〜28度、高いときだと30度くらいになることもありもっとも温かく、身軽に水着だけで海遊びができるシーズンです。
夏休みともなるとファミリーや学生グループなど多くの人が来島し、イベントも盛りだくさんで大変賑やかな時期でもあります。
特に人気のイベントはアンコールまで行われる盆踊り大会です。
中でも、一番盛り上がるといっても過言ではないのが「マッコウ音頭」。
「マッコウけっこう小笠原 夢の花咲く小笠原〜♪」と小笠原の魅力が詰め込まれた陽気な歌に合わせて、老若男女、島民も観光客も、みんなで輪になって踊れるお祭りです。
- 7月:小笠原貞頼神社例大祭
- 8月:サマーフェスティバル(盆踊り大会、花火大会、音楽イベント「JAMMIN」、ウミガメの放流、南洋諸島から伝わったとされる「南洋踊り&KAKA」、小笠原フラの「フラ・オハナ」、ビーチバレー大会、星空観望会など)
しかし、南国らしいもうひとつの顔も持ち合わせています。
それは「台風」。
この時期はまさに台風シーズンになります。
海も大しけになるので、宿泊先で缶詰状態になることもよくあり、被害のおそれがあるときには避難所で過ごすこともあります。
わたしは9月に行くことが多かったこともあり、何度か島での台風を経験しました。
民宿の2階に宿泊していたときは、外から部屋のシャッターを下ろされ、その部屋から一歩も出られずに丸一日過ごしたことも。
自炊用のキッチン、お風呂、トイレとも部屋に完備されていたのでそれほど不自由はなかったのですが、南の島の台風は猛烈な風が吹き荒れ、外の様子がわからない状態で聞こえてくる今までに聞いたことのないほどの「ごぉごぉ」という風の音にはさすがに恐怖を感じました。
もちろん、台風前後の海は大しけでドルフィンスイムやホエールウォッチングはできません。
けれど、悪いことばかりではないのです。
「海はおろか、外にも出られない・・・」そんなときは、同じ民宿に宿泊している観光客同士で宴会が始まったりします。
通常海のツアーに参加する場合は、出発が早かったり船酔いしないよう体調を万全にするため、お酒には気を遣う人も結構います。
でも、丸々一日陸で過ごさなければならないとなれば、気にする必要もありません。
ちょっとしたハプニングが絆や団結力を高める、ということもよく聞きますよね。
できれば毎日絶好のお天気に恵まれるのが理想ではありますが、こんな楽しみ方をできるのはこの時期ならではなことではないでしょうか。
島でゆっくりのんびり過ごす
一番島の中が落ち着く時期といえるのは年末年始をのぞいた11〜2月。
この期間、父島の南西にある大人気の島「南島」は入島制限があるため、陸上に上がることができません。(外洋に面した扇池から泳いで渡ることは可。ただし、上がれるのは砂浜までです。)
だんだんと気温・水温が下がってくることもあり観光客が少なくなり、島がもっとも穏やかな時期になります。
紫外線もそれほど強くないので、浜辺でのんびりしたり山歩きをしたり、自分のペースでゆったり過ごすには最適なシーズンです。
小笠原のベストシーズンのまとめ
いつの季節に行っても楽しめる島、小笠原。
ひとつ目標をクリアしたら、次から次へと”やりたいこと”が増え飽きることがありません。
片道だけで丸一日かかるというのにリピーターが多いというのもうなずけます。
一度では絶対に遊びつくせないということも、人を虜にする魅力なのかもしれません。
ここまでは、通い続けたわたしが考えるベストシーズンをご紹介してきました。
ぜひ、あなたにとってのベストシーズンを見つけてみてくださいね。
- 野生のイルカと泳ぐなら、6月がオススメ!
- ザトウクジラのホエールウォッチングなら、1〜4月がオススメ!
- アオウミガメの産卵を見るなら、5〜8月がオススメ!
- 思う存分南国を味わうなら、7〜9月がオススメ!
- 島でのんびり過ごすなら、11〜2月がオススメ!