東京には、野生のイルカと泳げる島があるのをご存知ですか?
世界自然遺産に登録された小笠原はドルフィンスイムのメッカですが、実は、それ以外にもあるのです!
それは、伊豆諸島のひとつ「御蔵島(みくらしま)」。
いったいどんな島なのでしょうか。
「御蔵島」とはどんな島?
東京竹芝から南に約200Km、三宅島からは南へ約20Kmというところに位置している「御蔵島」。
竹芝桟橋より夜行船に乗り、7時間半ほどで行くことができます。
イルカ好きや離島好きな人なら耳にしたことがあるかもしれませんが、ちょっぴりマイナーな離島です。
伊豆大島から南に向かって利島、新島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島の7つの島をまとめて「伊豆七島」と呼ばれています。
その6番目にあるのが、この「御蔵島」です。
島の基本情報
面積が20.54km²、周囲16kmという有人島としては小ぶりな島です。
島は円形で、横から見るとこんもりとした形のため、”お椀をかぶせたような島”などと言いあらわされることもしばしば。
つまり、側面は断崖絶壁、島全体は山のような形状になっていて平地があまりありません。
人が住む集落は、島の北部、海の玄関口「御蔵島港」がある一部分だけです。
島民の方々は、歩いても10分程度という範囲内にみな集まって生活を営んでいます。
以前は南側に「南郷集落」と呼ばれる集落があったようですが、現在は廃村となっています。
令和元年現在、人口は約320人ほどとされています。
島の気候は?
東京より南に位置し、黒潮の影響もあるので内地に比べるといくらか温暖な気候です。
とはいえ、いわゆる「南の島」を想像していると寒いなと思うでしょう。
服装は内地とそれほど変わらないと思っていれば間違いないです。
水温も思っているほど高くなく、一番温かい9〜10月でも23度程度です。
基本的には夏も含めて薄手のウェットスーツを着用すると考えていた方が良いでしょう。
沖縄や小笠原の海と同じに思ってイルカの元へ飛び込むと、めちゃくちゃ”ひやっ!”と感じます。
黒潮が島のど真ん中に流れ込んでいる年は温かいですが、少し外れると夏でも水温が20度を切ることもあるようです。
わたしは7月のはじめに行きましたが、ドルフィンスイムではダイビングで使用している5mmのウエットスーツを着用しました。
それでも泳いでいて暑いと感じることはありませんでした。
雨は非常に多く、遮るものが何もない御蔵島では風も強いことが多くあります。
そのため、海も時化ることが多い島といえます。
お店はあるの?
当然ながらコンビニなどはなく、島に商店は4軒のみ!
お土産屋さんとカフェを兼ねたお店が1軒、食品から日用品までを扱うお店が2軒、農協・漁協の購買部が1軒、といった内訳です。
島での宿泊事情は?
一方で、宿泊施設の方はどうかといえば、こちらもあまり数多くはありません。
小笠原と同様、全島キャンプ禁止になっています。
宿泊先が決まっていない人は上陸できないルールですので、船などの交通手段を確保する前にまず宿泊施設を予約するのが鉄則です。
しかも、民宿、ゲストハウス、バンガロー等すべてのタイプの宿泊施設を合わせても7軒だけしかありません(令和元年現在)。
都心やリゾート地のホテルなどと異なり、それぞれの収容人数も限られてしまいます。
ドルフィンスイムのオンシーズン、連休や夏休みなどは争奪戦が繰り広げられることはいうまでもありません。
予定が決まったらなるべく早く予約してしまいましょう!
お店も宿も少なく、自然は豊富、というところがいかにも”離島”という感じですね!
島の魅力とは?
だいたいの島の概要がわかったところで、行った人が魅了されるという島の魅力についてご紹介いたします。
どのような魅力をもった島なのでしょうか。
野生のイルカが棲む島
御蔵島といえば、まず一番に思い浮かぶのはイルカが棲んでいる島であるということ!
引用:photoAC
野生のイルカが見られるのは、小笠原や沖縄、千葉など日本にも何箇所かあります。
それらとの違いは何なのか。
それは「島に棲んでいる」ことです。
野生なので、決して生け簀などで飼育しているわけではありません。
正確に言うと、彼らは島の周りに根付いて生活しているのです。
そのため御蔵島のイルカたちは、「根付きイルカ」などとも呼ばれています。
たとえば、小笠原のイルカたちは太平洋で暮らすため、出会えるかどうかは完全に”運”と言えるでしょう。
それが御蔵島なら、島の周りをぐるりと一周すればどこかしらには居るということです。
もちろん、遊んでくれるかどうかはイルカの気分次第ですが・・・
もし万一、イルカが遊んでくれなかったとしても、この島に棲んでいると思うだけでもイルカ好きにはこの上ない魅力ですね!
また、御蔵島ではイルカの個体識別を行なっており、それぞれに名前がついています。
お気に入りのイルカを見つけて探してみるのも楽しいですよ!
小さいけれど、大きな自然に恵まれた島
御蔵島は面積約20km²、人口300人ちょっとという小さな島です。
離島は飲料水などの水の確保が難しく、多くのところが水不足などで苦労しています。
それに対し、御蔵島は水資源が豊かな島だと言われています。
その理由は、島のほとんどが原生林に覆われ水を蓄えているからです。
たくさんの種類の植物が島全体を覆っていて、恵みの雨をしっかりと吸収し、蓄え、湧き水となり、きれいな天然水をわたしたちに届けてくれるのです。
緑多き原生林、そして豊富な水があるところには、植物のみならず陸上の虫や動物もたくさん存在しています。
伊豆諸島あるいは御蔵島固有とされているミクラミヤマクワガタやミクラクロヒカゲ、渡り鳥ならぬ”渡り蝶”のアサギマダラといった昆虫類、日本固有のトカゲであるカマジッコ、伊豆諸島固有アカッパラ(アカコッコ)、子育てにやってくるカツオドリ(オオミズナギドリ)などの鳥類、と多種多様。
小さい島ながらに、大自然に囲まれた島であることも魅力のひとつです。
そのため、島全体が自然保護区に指定されており、動植物の採取は禁止されています。
珍しいものをたくさん見られるので捕まえたい気持ちもわかりますが、採取は行わないようにしましょう!
都心からアクセスしやすい島
きれいな海に囲まれた島に行きたい!と思った時、小笠原はとても魅力的。
だけど、行くだけで1日、帰るだけでまた1日と往復だけでも2日間もかかってしまいます。
沖縄は飛行機で行けるけど、羽田空港まで行き飛行機に乗る手続きを踏み、ようやく目的地に・・・となるとやはり半日はつぶれてしまいますよね。
その点、御蔵島は週末トリップが可能な島!
島に向かう船は夜行船なので夜に出発します。
また、御蔵島から東京へ向かう船は夕方に竹芝に到着・・・
つまり、金曜日に仕事を終えたら島に直行し、土日を遊びつくして月曜日からまた仕事へ、と休暇を取らなくても1泊3日の弾丸ツアーで行くことができるのです。
引用:photoAC
荷物のパッキングも、小笠原に行くときは最低でも1週間分の生活用品から自炊用の食料(節約のため)、洋服に泳ぐ道具に、と何日も何日もかけて忘れ物のないよう1〜2週間前くらいから事前に準備しています。
ところが御蔵島の場合、週末を過ごせるだけの荷物だけでよいので準備もそれほどかかりません。
荷物の量もわりと身軽なので、わたしは旅行バッグも持って仕事に行き、終業のチャイムが鳴ったらそのまま竹芝へ、ということもしていました。
たいてい離島への旅行というのは、基本的には移動時間がかかるためどうしても有休などを取る必要が出てきてしまいます。
しかし、御蔵島は週末ちょっとお出かけする感覚で遊びに行けてしまう島なのです!
このアクセスしやすさという点も、御蔵島が人気である理由のひとつというわけです。